相続税に備えた生前対策

今年、団塊の世代が70歳を迎えるといわれており、自分白身や親世代の相続について一層関心が高まってきています。


一般的な相続対策には、複数の相続人における遺産争いを防止するための相続対策と、相続税自体を減少させるための工夫や相続税の支払手段を確保するための相続税対策の2つがあり、両者の調和のとれた対策を検討することが相続対策としては重要です。




現状把握
どういったケースでもまずは、自分の財産がどのくらいあるかを把握する必要があります。

預金であれば通帳、不動産であれば毎年の固定資産税納税通知書でおおよそ確認できます。


生命保険やゴルフ会員権も財産です。


知人との債権債務なども財産です。


財産が把握できたら、次に財産の分頬・整備をしてください。



例えば、代々残していきたい財産、処分してもよい財産、換金性の高い財産、有効活用を図る財産など、いろいろな観点から財産を色分けしていきます。


争族を防ぐ方法
財産の把握ができたら次に、複数相続人間の遺産争いを防止するための対策を考える必要があります。


具体的方法としては遺言を用います。

遺言を書くことで考えが整理されることもありますし、遺言は遺産分割の基礎案にもなります。

遺言があっても遺言で財産を相続・遺贈するとされている全員の同意があれば、遺言内容に従わずに改めて相続人全員の遺産分割協議によって遺産分劃を行うこともできます。


そのため、遺言の内容でよければそのとおりに分割し、変更したい場合にはその遺言書を基に相続人全員の協議によって遺産分割協議書を作成するということもできます。


また、遺言の他に信託という方法もあります。

信託とは、財産を保有する人(委託者)が、一定の目的のために信託契約等により、信頼できる人(受託者)に対して財産を移転し、受託者はその財産の管理・処分等をする法律関係です。


利益を受ける者(受益者)が委託者と同じ者の場合には通常、自益信託と呼ばれています。

自益信託で当初は設定しておき、自分の死後は子を受益者とあらかじめ定めておく信託契約を行えば、遺言と同様の効果が実現できます。


相続税の節税対策としては主に3つの方法があります。

・課税される財産を減らす方法
・相続税計算時の評価を下げる方法
・通用される税率を下げる方法


個々の相続税対策について順番に説明します。


暦年単位課税制度
課税される財産を減らす方法として、生前に贈与により相続財産を減らしておく方法があります。


暦年単位課税制度における贈与税の基礎控除額年間110万円を用いて毎年110万円ずつ贈与することにより、相続財産を減らすことが可能です。

留意すべき点は、贈与を受けた受贈者からの受諾の意思表示または受贈者が実質的管理を行える環境にあることが贈与契約の条件になる点です。

そのため、贈与を受けた受贈者の口座名義になっていても、実質的管理は贈与者が行っていた場合には贈与とみなされません。

さらに、贈与が毎年定期的におこなわれている場合には、最初の年に「贈与を毎年受ける権利」が贈与されていたとして、連年贈与と取り扱われ、初年度に以後受け取る財産の全額贈与があったものとして贈与税の課税がなされる恐れがあります。

ですので、贈与契約書は毎年作成し、受贈者が実際に管理する口座などに入金することが贈与と認められるために必要となります。


相続時精算課税制度
暦年単位課税制度と選択適用になりますが、相続時精算課税制度という制度もあります。

ただし、一日一相続時精算課税制度を選択すれば、以後は暦年単位課税制度に戻ることができなくなるので注意が必要です。


贈与額から2500万円を控除した残額に対して20%の贈与税の負担で実行可能となり、価格の固定効果があることから相続時までに値上がりが見込まれる資産については大きな節税効果となります。

例えば、賃貸不動産や事業の自己株式を生前贈与することにより、贈与した時点以後の賃貸収入を子や孫に移転することができます。

また、拡大している事業を時価が低い贈与時点で相続人に移転することが可能となります。


ただし生前贈与することに伴うリスクも発生することになる点について留意が必要です。

例えば、生前贈与した賃貸不動産が火災や震災で滅失した場合などは、本来滅失した財産に相続税が課されることがなかったのに、生前贈与していたため贈与時点の評価で相続税が課税されることになります。



また、事業に失敗して株式評価が下がった場合でも、贈与時点の高い評価で相続税課税される恐れがあります。


直系尊届から直系卑属への資金贈与
贈与税では、直系尊属(父母や祖父母)から直系卑属(子や孫)への贈与に以下のような特例を設けています。

・教育資金の一括贈与
・結婚・子育て資金の一括贈与
・住宅取得等資金の贈与

 
教育資金の一括贈与において、親や祖父母から受ける教育費には、通常、税は課されません。

使いきれずに残した分は贈与とみなされます。

そのため、この特例のよい点は、贈与する人には一括で渡すことができるという点であり、贈与を受ける人にはすぐには使わなくてもよいという点にあります。

住宅取得等資金の贈与では、贈与された人がその住宅の名義を持ち、実際にそこに住むことが条件となっていますので、もし賃貸や売買に回した場合、特例が取り消され、通常の贈与税が課税されますので注意が必要です。


不動産への種類換え
次に相続税計算時の評価を下げる方法として不動産への資産の種類替えがあります。

資産の種類を不動産に換えることにより相続財産の評価額を下げることができます。
 
例えば、不動産の価額は路線価又は固定資産税評価額で換算されます。

通常、路線価は公示価格の8割、固定資産税評価額は公示価格の7割の評価といわれています。

そこで、手元に現預金の比率が多い場合には、一部を不動産に換えて財産評価額を下げることが相続税対策として有効になります。


小規模宅地の特例 
小規模宅地等の特例とは、一定要件を充足した被相続人等の事業用又は居住用宅地等に対して、限度面積(特例の適用区分に応じて200平米、330平米及び400平米の3区分)に達するまでは、通常の評価額の20%又は50%に相当する価額をもって相続税の課税価格に算入すべきとする制度です。


要件を充足していれば、土地等の評価額が8割減又は5割減となる規定であり、相続税額に大きな影響が生ずる特例ですので、可能性があれば対策を検討すべきでしょう。


生命保険金対策 
生命保険で支払われる死亡保険金は、死後の家族の生活を守る資金であるため、税の優遇措置がとられています。

具体的には、死亡保険金のうち、500万円に相続人の数をかけた金額が、相続税がかからない非課税財産として取り扱われます。

そのため、生前保険金をかけておくことにより、課税される相続財産から控除することができます。


また、死後すぐに凍結されてしまう預金と違い、生命保険の場合にはすぐに対応して払い出してもらえるため、葬儀費用や相続税の納税資金対策としても有効です。


保険のかけ方には、契約者・被保険者・受取人により課税される税目が異なってきますので、状況に応じた保険契約を締結する必要があります。


養子 
最後に、適用される税率を下げるための方法としては、養子を迎えるという方法があります。

養子を迎えると基礎控除額が増加するだけではなく、課税財産の法定相続人数での按分額が減少するため、適用される税率も低いものになります。

ただし、節税のための対策が相続人間に波風を立てることのないよう、事前に他の相続人にも相談の上対応することが肝要です。

一般的にいわれていることですが、相続が争続とならないようにするため、この機会に相続後のことも考え、生前に売却や交換・買換えなどで資産の組み換えをしたり、生命保険を見直すなどの相続財産の整理を行っておくとよいでしょう。




 

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空き家特例 3年前に一人暮らしの親が亡くなった空き家は?

前回の記事ではマイホームの控除でしたが、空き家の場合はどうでしょう。


こちらも年末までに売れば、空き家特例として3000万円特別控除が使えます。


・空き家特例は居住用特例

一人暮らしの親が亡くなりました。

住まいは築古一戸建て。

子がその戸建てを相続、そのあと空き家のまま。

亡くなった親の居住用なら、相続した子が3000万円控除を使えるという特例なのです。

こちらも「3年後の年末までの売却」が条件です。



空き家相続から3年目の年末までに子が売却して1億円以下なら3000万円特別控除です。

売却益が3000万円までなら譲渡税はゼロになります。




・空き家特例のポイント
 
ただ通常の居住用と比べて制約は厳しくなっています。

一人暮らしの親だけの居住用。

つまり同居人ナシ。


事業用賃貸用は不可。


築年月日は昭和56年5月31日以前の建築、つまり旧耐震時代の建物に限る一戸建

区分所有建物(マンション等)は不可。


1億円以下の売価制限。

更地化し1億円部分のみ売却はOK。

固定資産税精算金はこの売価の一部なので注意ください。



売却期限は、相続日から3年経過年の12月31日まで。

元旦相続だと経過年は1年前にずれるので注意してください。



・相続人・被相続人の居住用
 
亡親の住居を子が相続し売却。子の居住用ではありません。

子は居住用3000万円特別控除を使えません。

空き家特例は一定条件でこれを「居住用とみなす」特例です。

居住用財産を譲渡した場合に該当するものとみなして3000万円特別控除の適用を可能になります。(租税特別措置法35条3項)
 

なお老夫婦2人で居住していたなら一人暮らしに該当しないのでこの特例は使えません。

この場合は、配偶者が相続し転居しその空き家を売っても、配偶者は実際居住していたので、配偶者本人の居住用の特別控除が使えるからです(この場合も転居後3年目の年末までが期限)。


空き家特別控除額3000万円は所有者(相続人)一人ごとに適用されます。

2人の子が共有で空き家相続すれば限度額3000万円×2人=6000万円に。


ただ売価制限1億円は2人だからと合計2億円にはならず、2人でも1億円のままです。




・売却までの制限と売却の仕方

本来の居住用3000万円特別控除は、引越後売却までの転用制限がなく賃貸等していてもOK。

しかし空き家特例では転用するとだめなのです。


相続後売却までに、一部でも短期的でも、事業・貸付・誰かの居住の用に転用すると適用されません。


なお相続税取得費加算特例との併用は不可です。



・売却時の売り方の制約は

建物が耐震基準を満たしていればそのまま売却してOKですが、満たさなければ耐震リフォームで基準を満たしてから売却。

建物を取壊し更地売却ならOK。


実務では建物取壊しての売却が多いのではないでしょうか。


区分建物不可・転用不可・築年制限等と複雑で制約が多いです。

それはこの税制が居住用財産売却の3000万円控除と違って、納税者のための優遇税制でないからです。


どういうことかというと「空き家をなくす」という政策のための税制だからです。



国交省は

「空き家が放置され、周辺の生活環境への悪影響を未然に防ぐ観点から、空き家の最大の要因である『相続』に由来する古い空き家の有効活用を促進することにより、空き家の発生を抑制するための制度」

と定め、空き家の約75%は旧耐震、そのうちの60%が耐震性のないものと推定され、空き家になる契機は相続が最多と言います。


「相続後早く売れば税金ゼロ」で、空き家発生の回避を狙います。


耐震不足家屋を撲滅し、不動産市場で流通させない。


「耐震リフォームすれば許すが、しないのなら古い家を取壊せ・・」というのが空き家特例なのです。





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3年前に引っ越した旧自宅 賃貸に出していて3000万円控除は使えますか?

3年前に引っ越した旧自宅 3000万円控除は使えますか?

結論からいうと年末までに売れば使えます。


2015年に引っ越した空き家、所有者が引っ越してそのままになっている空き家はありませんか。


今年(2018年)中に売却なら、税金が安いかも知れません。


マイホーム売却は税法用語では「居住用財産」といいますが優遇されています。



居住用財産の譲渡なら3000万円特別控除があり、譲渡益3000万円まで譲渡税ゼロ。



居住用でなければ譲渡益3000万円に対し、5年超所有なら長期譲渡税率20%で税額600万円、5年内の短期讃渡なら税率39%で税額1170万円ですし復興税がこれに別途かかります。



空き家の戸建やマンションでも2015年以降引越なら税務上はまだ居住用財産なのです。


つまり空き家でも居住用3000万円特別控除を使えるのです。





「居住用財産」とは何か

買主が決まり1週間前に引越をして売買契約。


つまり売却前の1週間は空き家。


新居転居後なら厳密にはもう居住用ではありません。


でも1週間ぐらいならまあ居住用でしょう。


売却依頼しても買主は現れず、やっと1年後に売れた、というのはどうでしょう。


このように個別に「居住用」判断すれば大混乱します。



居住用の定義を「売却時に住んでいる住宅」とすればこのような問題が続出します。


空き家期間はゼロか、1週間か、1年でもいいのか。


親戚にタダ貸しはいいのか。


ということになってしまいます。




賃貸中も居住用3000万円控除

このような混乱回避のため基準を用意しています。


これらの家屋が当該個人の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡した場合には租税特別措置法35条により居住用財産として3000万円特別控除が使えます。


「住まなくなって3年後の年末までの売却」が条件です(建物を取り壊して土地だけ売却には用途等制限があります)。



引越後売却までの用途制限はなく、空き家も親戚にタダ貸しも第三者へ賃貸もOKです。


家賃を受け取り、3年間第三者へ賃貸中というと普通は居住用とは思えません。



ところが税務上では「居住用財産」なのです。



2015年に引っ越した物件 

2015年に引越なら2018年の年末までに売却(物件引渡日でなく売買契約日でOK)すれば居住用財産の売却として3000万円特別控除が使えます。


しかし2019年元旦になると居住用財産ではなくなり特別控除は使えません。





そして3000万円控除メリットを受けられるのは当然ですが値上がりした物件です。


それは例えば先祖代々の土地に建てられた自宅やここ十数年内に購入の大都市部のマンション等がおそらく該当するでしょう。


なお建物部分の原価は減価償却計算します。


木造なら30年すれば原価はほとんどゼロです。



マイホームを買い値同額や、幾分値下がりで売却しても譲渡益が生じるということがあります。


そのときは3000万円控除が使えます。



2015年に賃貸転用マイホーム

2015年に所有者が転勤で引越しその後は第三者に賃貸中の元マイホーム。


賃貸中の物件が、所有者のマイホームのはずはありません。


しかし前述のように、引越から3年目の年末までならどのように使われていても「居住用財産」なのです。


つまり賃借人付き賃貸物件売却でも居住用財産の売却で、居住用3000万円特別控除が使えます。









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不動産所得計算における必要経費の範囲とは

必要経費は当該費用について事業の遂行に必要性があるかないかという解釈の問題であるので、費用の実態を検討します。



主な必要経費


・租税公課    
租税とは税金、公課とは例えば組合費などの公 の費用のこと。
固定資産税、償却資産税、不動 産取得税、登録免許税、印紙税、事業税など


・損害保険料
事業に要する火災保険、地震保険などの掛け金 で当年度分


・修繕費
建物や設備の修理代金、入居者の入れ替え時などに発生するメンテナンス費用



・減価償却費
建物・設備等の減価償却分を毎年、必要経費として計上


・借入金利子
建物等賃貸部分の取得に要したローンの利息額など



・ローン保証料
保証会社、保証機関を利用した場合の保証料(借入期間で割った金額を毎年計上)



・地代・家賃
事業の建物・土地等が借家、借地の場合の賃料



・手数料
不動産会社への仲介手数料など


・委託管理費
不動産会社等へ支払う管理委託料



・青色事業専 従者給与
青色申告者と生計を一緒にする15歳以上で控除対象配偶者扶養親族以外の親族への給与賞与など(事業的規模の場合のみ)



・給料賃金
従業員の給料・賞与・退職金など




・水道光熱費
共用部分の水道光熱費



・通信費
事業に要した郵便・電話料など



・広告宣伝費
募集広告に要した費用など



・消耗品費
文具代、耐用年数が1年未満もしくは取得価額 が10万円未満の備品等の代金など



・解体費・立ち退き料
老朽アパートの建替えで発生した立ち退き料や建物の取壊し費用も必要経費。
なお自宅建替えの場合の費用は必要経費にはならない。



自己使用分と事業分の区分

自己使用分(家事消費)と事業分を区分しなければなりません。


また、長期の空室にかかる経費も実質性で判断されるので、貸す予定がない場合の経費は認められません。


一方で認められるためには空室の期間も募集していた証拠として募集パンフレットや領収書等を保存することが必要です。



建物や設備の修繕費用

建物や設備の修繕費用は、原則として一括して必要経費となります。


ただし資産の価値の増加や耐用年数の延長がある場合は資本的支出となり減価償却を行わなければなりません。



判断が難しい場合に修繕費と見なされるルールとして次のようなものもあります。


・建物の毀損部分の取り替え修理、畳の張替えや外壁の塗替え。

・沈下等による地盤改良。

・金額が20万円未満の建物や設備の改良や交換。

・おおむね3年以内の周期で行う修理。

・区分がしにくい場合は、金額が60万円未満かその資産の前期末の取得価額のおおよそ10%以下。

・支出した金額の30%か資産の前期末の取得価額の10%のうち小さい額を修繕費とし、残りは資本的支出とする。ただし継続適用が条件。

















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固定資産税 評価額はどうやって決まる?

建物の固定資産税について裁判となる事案が増えています。


不動産は取得、保有、譲渡、収益などに対して、税金が課税されます。


そのうち固定資産税は保有に対して課税される税金です。


毎年課税され、他の税金の税額計算でも利用される、土地と建物で評価方法が異なるなどの特徴があります。


税額は一般に 

税額=課税評価額×税率

で計算しますが課税評価額の決定方法は重要で社会的な関心も高くなっています。



税額が多額となる相続税などと比較すると、固定資産税は税額が相対的に少額なこともあって、訴訟に至るケースはそれほど多くはなかったのですが、市町村によって評価額が異なる、地域の衰退によって評価額は適切な「時価」を反映しているとはいえないなど、固定資産税をめぐる訴訟も増加傾向にあります。



固定資産税の評価では、土地と建物で異なる評価理論が採用されていて評価理論を適切に実務処理するために、実際の実務従事者も異なっています。



土地については場所、形状、前面道路幅員、容積率などによって個別性が高く、個々の価格を適切に把握することが困難なことから、不動産鑑定士に不動産鑑定評価を依頼するなどの方法により、衡平な評価額の決定に努めています。



全ての土地の不動産鑑定評価を依頼すると徴税コストがかさむことから代表的な土地を鑑定評価し、鑑定評価した代表的な土地と土地の間は価格バランスに注意しながら道路に価格を敷設する、路線価方式を採用しています。



固定資産税の路線価は公示価格、つまり、実際に取引される際の価格に相当する「実勢価格」の70%で評価することが目安となっていて市場の取引価格をもとに評価するマーケット・アプローチを採用しています。



固定資産税の路線価は近年まで公開されていませんでしたが、現在では一部ではありますがに相続税の路線価と同様ネット上で確認することができます。



これに対して、建物は建築に必要となる費用を前提とするコスト・アプローチを採用しています。



土地については不動産鑑定士など、外部の専門家を積極的に利用する一方、家屋の評価は主として課税庁である市町村の職員が評価する点も異なります。



固定遺産税における家屋評価はコストに注目する方法のため、本質的には新築工事の見積書を再現する作業を行うことになりますが課税庁が独自に評価する仕組みとなっているため、見積書の提供を受けてそれをチェックすればよい、というわけではありません。



・評価額の考え方

家屋の評価は、木造家屋及び木造家屋以外の家屋である非木造家屋に区分し、家屋に評点数を付けて評点1点当たりの価額を乗じて評価額を求めます。


評点数は、家屋の再建築費評点数を基礎とし、損耗の状況による減点を行って付設します。


必要があれば、さらに家屋の需給事情による減点を行います。


評点1点あたりの価額は、道府県庁所在の市と東京都特別区など指定市については、総務大臣が算定して知事と指定市の市長に通知し、それ以外の市町村については指定市の価額を参考に都道府県知事が算定して市町村長に通知します。


評価額は単価や総額を直接求めるのではなく、まず、評点数を求めてそれに評点1点あたりの価額を掛けます。


工事費を直接的に「点」で求めることが基本となります。


結果的に評点1点あたりの価額は1円が基本ですので、「点」=「円」ですが、都市による物価水準を考慮する設計監理費などの費用を補正します。


評点数は、不動産鑑定評価基準の積算法とほぼ同じ考え方です。


つまり、

積算価格=再調達原価-減価修正額


に対して、固定資産税では、


評点数=再建築費評点数×損耗


の状況による減点補正率で求めます。




必要がある場合は、「需給事情による減点補正率」を掛けることになっていますが、利用されることは稀です。



寂れてしまった家屋に、需給事情による減点補正率を適用すべきかについて判決が出ました。


下級審ですので今後を見守る必要がありますが、「場所柄、とてもそのよう価値はない」といった場合に使うことがあります。




・木造家屋の評価
 
屋根、基礎、外壁、柱・躯体、内壁、天井、床、建具、建築設備、仮設工事その他工事の部分別区分により評点数を求めます。


部分別区分ごとに評点項目及び標準評点数が用意されています。


評点基準表は、在来工法が用いられ、使用する材料や工法が限定的であった時代に開発された方法ですが、材料の多様化や工法の進展が顕著な今日では、変化に対応しきれないという指摘があります。


 専用住宅、共同住宅及び寄宿舎、併用住宅、ホテル・団体旅館及び簡易旅館、普通旅館及び料亭、事務所及び銀行、店舗、劇場、病院、工場・倉庫、附属家屋、簡易附属家屋、土蔵用の評点基準表が準備されています。




・非木造家屋の評価
 
主体構造部、基礎工事、外周壁骨組、間仕切骨組、外部仕上、内部仕上、床仕上、天井仕上、屋根仕上、建具、特殊設備、建築設備、仮設工事、その他工事の部分別区分にもとづいて非木造家屋再建築費評点基準表が準備されています。



大規模建築物では集計に長時間必要となる、評点基準表に表れない部材や工法が開発されているなど、木造以上に課題が大きくなっています。










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