土地区画整理法 重要事項説明書説明資料より

土地区画整理法
(昭和29.5.20) 最近改正 平成29.6.2 法45号

1.土地区画整理事業の目的
土地区画整理事業とは、都市計画区域内の土地について、土地の区画形質の変更を行い、公共施設の新設・変更を行うことによって、宅地の利用の増進と公共施設の整備を図ることを目的として行われる事業のことです。


2.事業の進め方
土地区画整理事業のおおまかな流れは次のとおりです。なお、次に示したものは、地方公共団体が施行する場合についてですが、その他の場合にも大筋はあまり変わりありません。

① 施行区域(地区)(注)の決定……………まちづくりの観点から事業を施行する地区を選定し、都市計画の決定をします。

(注)「施行地区」とは土地区画整理事業を施行する土地の区域のことですが、都市計画事業として施行される事業については「施行区域」となります。

② 現況測量・調査の実施……………………事業計画策定のため、土地、建物等の現況を正確に把握します。

③ 事業計画・施行規程の決定………………事業の基本である設計、資金計画等について、知事の認可を経て決定します。

④ 審議会委員の選挙、評価員の選任………審議会は、関係権利者の意見反映のための機関として土地所有者・借地権者・学識経験者から選ばれて、事業施行の重要な事項について審議します。

また、土地・建物の評価のため評価員が審議会の同意を得て選任されます。

⑤ 換地の設計…………………………………事業計画及び個々の宅地の現況等に基づき、整理後の個々の宅地(これを「換地」という。)の区画を設計します。

⑥ 仮換地の指定………………………………移転や工事の必要から、審議会の意見を聴き、換地の前提となる仮の換地(これを「仮換地」という。)を指定します。

⑦ 建物等の移転、道路等の工事……………仮換地が指定されますと、現在地から仮換地へ建物等を移転することになります。

これに併行して道路、下水道、電気、ガス、水道等の工事を行います。

⑧ 町界・町名・地番の変更、整理…………新しい街区


仮換地指定の方法
仮換地の指定は施行地区内の宅地の所有者及び宅地についての地上権、永小作権、賃借権、その他宅地を使用し、又は収益することができる者に対し行われます。

即ち仮換地の指定は、仮換地となるべき土地の所有者、従前の土地所有者及び所有権以外の権利を有する者に対して「仮換地指定書」(仮換地位置図を添付)で行われますが、その指定する内容は次のとおりです。

Ⅰ 仮換地の位置
Ⅱ 仮換地の地積
Ⅲ 仮換地指定の効力発生日
Ⅳ 仮換地の使用収益を開始することができる日を別に定める場合には、使用収益の開始の日

仮換地指定の法的効果(法第99条第1項、第3項)
仮換地が指定された場合には、従前の宅地について、所有権、賃借権等を有していた者は、仮換地指定の効力の発生の日から換地処分の公告の日まで、仮換地について従前の土地に存する権利と同じ内容の使用収益権を取得するかわりに、従前の土地に存した使用収益権を停止されます。

したがって、自己の宅地を他人の宅地の仮換地等に指定された場合、その者は自己の宅地を使用、収益することができなくなります。

従前の土地の売買(仮換地指定後)
仮換地指定後の従前の土地の所有者は、従前の土地の使用収益権を停止されるだけで、売買等の処分権まで禁止したものではありませんので従前の土地の売買は可能です。

また、第三者に対抗するための移転登記も従前の土地について行います。

ただし買い受けた後実際に使用収益ができるのは仮換地となります。

従前の土地の一部売買(仮換地指定後)
従前の土地の一部を売買する場合、仮換地のどの部分を買い受けたかわからなくなりますので、仮換地のどの部分の売買を目的とするのか十分に明確にしておくことが必要となります。

減価補償金・清算金の帰属仮換地の売買においては減価補償金、清算金の帰属を明確にしておきます。実務上は将来に問題を残さないよう買主帰属とするほうがベターですが、その際、買主に十分な説明を必要とします。


4.換地処分とは

① 換地処分とは、換地計画に係る区域の全部について、換地計画どおりに工事が完了した後、施行者が、従前の宅地の関係権利者に対し、工事完了後の土地を割り当てる処分のことです。

なお、換地処分は、関係権利者に対し「換地処分通知書」によってなされます。

施行者は換地処分をした場合においては、その旨を遅滞なく知事に届け出なければならないとされています。

知事は都道府県が換地処分をした場合又は施行者の届出があった場合、換地処分の公告を行うことになります。

換地処分の効果はこの公告をもとに発生します。

② 換地処分の効果
換地処分の効果は、換地処分の公告があった日の翌日に次の効果が生じることになります。

Ⅰ 所有権、その他使用収益権の換地への移行
Ⅱ 換地計画で定められた清算金の確定
Ⅲ 施行者による保留地の原始取得


③ 換地処分に伴う登記
施行者は、換地処分の公告があったときは、その旨を登記所に通知し、また申請することによって登記が行われます。

換地処分によって土地及び建物登記簿が書き換えられても新しい登記済証(権利証)あるいは登記識別情報は交付されません。

ただし換地処分前の土地が2筆以上に対し、換地処分後の土地が1筆となった場合は新しく登記済証あるいは登記識別情報が交付されます。

④ 登記簿の閉鎖
換地処分の公告があった日以降は登記簿が長期間閉鎖されることがあります。

この間の権利移動については組合の台帳に記入され、また確定日付のある契約書により換地処分の公告前に登記原因を生じたことを証明できれば、登記申請はできますが、登記済証や謄本が融資の実行等に必要な場合は注意する必要があります。

なお、保留地の売買については、保留地証明が必要であり、抵当権の設定ができないため原則として住宅ローンの借入れができません。

⑤ 清算金
清算金とは区画整理事業を行う前の土地(従前の土地)と、事業をした後の土地(換地)をそれぞれ評価し、従前の土地の評価額が換地の評価額より多いときは清算金が交付され逆の場合は清算金が徴収されます。

清算金は換地処分公告のあった日の翌日に確定します。

なお、土地が共有地の場合、持分によって各権利者に按分して清算されます。

⑥ 仮換地上の建物
仮換地の指定がなされた後に建てられた建物の表示の登記は、当該仮換地のいわば底地が表示されます。

すなわち次のように建物の表示登記がなされますので重ね図あるいは仮換地の証明書によって、従前の土地と仮換地が一致しているかを確認しておくことが重要です。

5.保留地とは
① 保留地とは、土地区画整理事業の費用に充てるなど一定の目的のため換地として定めない土地のことです。
② 保留地の帰属

保留地は指定がなくても、これにより直ちにその所有権が施行者に移るのではなく、換地処分の公告(法第103条第4項)がなされた日の翌日に施行者による換地処分に伴う一括登記により、施行者を所有者とする保留地所有権の保存登記をすることになるため、これ以前に保留地の売買が行われた場合はいうまでもなく、換地処分の公告後であっても、施行者のための保存登記が完了するまでは、保留地の権利を第三者に対抗するための保留地所有権移転登記を受けることができません。

③ 保留地の売買
保留地の売買は、従前の土地が存在しませんので、当該保留地の使用収益権を移転させるにとどまります。

したがって、信用力の点で劣る個人施行や、組合施行の場合の保留地の売買にあたっては、二重売買などに注意を払う必要があり、土地区画整理事務所備付けの簿書に買受人として登載されているものがないか、保留地を現実に占有しているものがないかを確認する必要があります。

6.土地区画整理事業に係る制限の内容
(1)土地区画整理事業の施行地区内における換地処分の公告の日までの建築等の制限
土地区画整理事業が、都市計画において当該事業の施行区域として定められた区域の土地において施行されるときは都市計画事業として施行されます。

この都市計画による施行区域の決定(計画決定)から、施行主体を決め、この事業決定(認可)を経て、土地区画整理事業の完了までにはかなりの日時を要します。

このためこの事業をスムーズに遂行するために、土地区画整理事業の工事の障害となる建築行為については次の制限があります。

① 都市計画で定めている区域(施行区域)での建築制限
都市計画で土地区画整理事業として施行する施行区域が計画決定(告示のあった日)されますと、施行区域内において、建築物を建築しようとする者は、都市計画法第53条第1項の規定により知事の許可を受けることになります。

すなわち、街路計画の計画決定段階と同じ規制となります。

なお、この都市計画法第53条第1項の建築規制がなされる時期は、都市計画で施行区域の告示のあった日から土地区画整理事業の事業決定(認可)の公告日の前日までとなります。

知事の許可が受けられる建築物は次のものです。

Ⅰ 都市計画に適合した建築物であるとき。
Ⅱ 次のいずれにも該当し、かつ、容易に移転し、又は除却できるものであるとき。

(a)階数が2以下で、かつ、地階を有しないこと。
(b)主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。

② 事業決定(認可)から換地処分までの建築行為の制限(法第76条第1項)
土地区画整理事業の工事の開始から完了まで、すなわち次のときから換地処分の公告の日まで、法第76条第1項の規定により建築行為等の土地利用は都道府県知事等の許可が必要となります。

この許可は、「76条許可」ともいわれ、仮換地に限らず保留地の土地利用についても同様に許可を必要とします。

Ⅰ 個人・農住組合施行の場合:事業施行の許可の公告の日から換地処分の公告の日まで
Ⅱ 組合施行、会社施行の場合:認可の公告の日から換地処分の公告の日まで
Ⅲ 公共団体施行・行政庁施行の場合:事業計画の決定公告の日から換地処分の公告の日まで
Ⅳ 公団・公社施行の場合:施行規程及び事業計画の認可の公告の日から換地処分の公告の日まで

なお、法第76条第1項の規定による建築行為等の制限は次のものです。

(a)土地の形質の変更
(b)建築物の新築、改築若しくは増築
(c)工作物の新築、改築若しくは増築
(d)移動の容易でない5t を超える物件の設置又は堆積

(2)仮換地指定に伴う従前の宅地の使用収益の制限
前述の「仮換地の指定とは」の③仮換地指定の効果と同じです。

(3)使用収益停止処分に伴う使用収益の制限(法第100条第2項)
施行者が、工事の施行を円滑に行うため、換地計画において換地を取得又は利用しないこととされる所有者や賃借権者等に対して、その宅地の使用収益の権能を期日を定めて停止した場合は、その所有者や賃借権者等はその期日から換地処分の公告がある日まで使用収益することが禁止されます。

(4)住宅先行建設区における住宅の建設(法第117条の2第1項、第2項)
土地区画整理事業施行地区全体の住宅の建設を促進するための住宅先行建設区域内においては、換地等を指定された宅地の所有者等は、指定期間内に住宅を建設しなければなりません。

これに従わない場合は、指定の取消等の措置が講じられます。




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